加賀友禅の布地を完全再現した「ジクレ版画」で原画さながらのポスター完成 │ 和想屋<wasoya> 様
- 2022年12月19日
- 高精細印刷
アートの街として親しまれる石川県金沢市。美術だけでなく加賀友禅・織物・刺繍など、希少価値の高い伝統技術や歴史的な文化財が溢れています。
その金沢市に本社を構える能登印刷が今回お手伝いさせていただいた「和想屋」様も、石川県にて着物の買取や販売を行っており、「今想う、和のカタチ」をコンセプトにしたブランド〈 wasoya 〉を2021年に立ち上げ。日本の伝統文化・工芸にフォーカスした商品を幅広く展開されています。
このように、地元を伝統文化や工芸で盛り上げ、地域に貢献する作家やメーカーは多く、また、絵画や反物、書道など、時間をかけ心を込めて制作された芸術作品は全国に数多く存在していますが、それらの「原画」(原物)はどれも「この世にひとつ」しかありません。
それらの作品を販売するため、複製し、世に送り届ける際、「できるだけ原画に近いものを届けたい」と願う作家やメーカーの方は多いはず。そんな思いに寄り添い、願いを叶えるのが、石川県の企業の中で弊社・能登印刷が唯一取り扱っている「ハイファイン・ジクレ版画」です。
本物と見間違える!? 「ハイファイン・ジクレ(ジークレー)版画」の
超・繊細かつ高レベルな原画の「完全再現性」。
このたび「和想屋」<wasoya> 様 が販売をスタートさせた、アートポスター「SHIKI」。これは、加賀友禅 × ストリートアート という異文化の融合によって生まれたもの。これまでにない加賀友禅の「新たな表現」に挑戦した<wasoya>のプロダクト商品を、弊社・能登印刷の「ハイファイン・ジクレ」の技術によって、布地の質感までポスターに落とし込んだ作品となります。
もとになったオリジナル作品(原画)は、加賀友禅作家・伝統工芸士の太田昌伸 氏 とクリエイティブ集団「PROPO」とのコラボ作品。
白地に映える黒地の背景に、四季をイメージした4色で季節の移ろいを描いたデザインは「PROPO」が手がけ、太田 氏がその図案を手描き友禅にて染め上げ。現代的なデザインと伝統的な工芸とのコラボという発想が新しくユニークで、和洋かかわらずどんな空間にも溶け込み、飾るだけで部屋がモダンに彩られる「友禅のアート作品」に仕上がっています。
「和想屋」様による商品紹介はこちら
「二」SS22_ART POSTERJust another WordPress sitewasoya.com
このアートポスターを間近で見ると「布かと思ったら紙!」と思わず脳が凹凸があるように錯覚を起こしてしまうほど繊細な印刷がなされています。そんなアートポスターを作りだすのが「ハイファイン・ジクレ(ジークレー)版画」です。
もう少し詳しく説明しますと「ハイファイン・ジクレ(ジークレー)版画」とは、「金沢かがやきブランド」(※注1)にも認定されている技術で、絵具独特の発色や筆致を忠実に再現し、原画さながらの感動と、部屋に飾る楽しみをお届けすることを可能にする高度な印刷技術のことを指します。
※注1/「金沢かがやきブランド」とは、金沢市が市内中小企業の開発した新製品を公募、技術性・新規性・デザイン性・市場性等で特に優秀と認められる製品が認定されるもの。
なお、ジークレー(ジクレ)とはフランス語で「吹き付けて色を付ける」という意味で、リトグラフやシルクスクリーン版画とは異なり、版を用いずに刷り上げるのが大きな特徴。
さらに、弊社・能登印刷が手掛ける「ハイファイン・ジクレ版画」には、
- 凹凸を捉える専用スキャナの使用と補正技術の高さ
- 緻密なカラーマネジメント技術の高さ
- 再現性の高い高精細な印刷
などの特長があります。
上記の写真は、制作時のワンシーン。今回は「布」という質感の良さをしっかりと引き出すため、メーカーである「和想屋」様とも何度も打ち合わせを重ね、作品を仕上げていきました。
制作過程をざっと紹介しますと、まず、原画をマルチアングルスキャナーで解析。質感や布目の凹凸も捉えた画像データに、より原画の表現に近づくようデジタル補正・加工を施し、専用プリンターにより、微妙な発色や質感も鮮やかに再現。とはいえ、機械だけで完全なものができるのではなく、複製技術を「美術品」のクオリティに仕上げるには、やっぱり「人間の高度な色補正技術」が不可欠。プリンティングディレクターの目と感性で、ひとつひとつ、何度も色・影・質感を見比べ、調節していきました。
今回はこの作品の「布目」を一番忠実に再現する方法を探るため、スキャナーやスキャンの方向等を変えながら最適なスキャン条件を追求。
また、背景の深みのある黒を再現しつつ、黒地の布目が潰れないよう細心の注意を払いながら、複雑な補正を施しました。同時に、四季を表す4つの色の変化も、忠実に再現しています。
納品した後、「和想屋」様からは、
能登印刷さんには相談の時点から親身にご対応いただき、
質感や色味などの意向をしっかり反映してもらって大変満足しています
といったお声をいただくことができました。
原画の作品が仕上がるまでの動画です。(和想屋HPから引用)
ジクレ版画で複製印刷する工程の動画です
「ハイファイン・ジクレ版画」は、耐光性に優れており、適切な環境で保存をすれば、次の世代まで残すことが可能。世界に一点しかない作品も、より本物に近い表現で、多くの方に観てもらうこともできます。
作家の立場で考えれば、原画を手元に残しておきたい方、またその逆で、原画を販売して手元にジクレ版画を残したいと考える方にも最適です。
ご興味ありましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。
制作:能登印刷株式会社
プリンティングディレクション:山崎 剛(能登印刷 制作部)
中川貴利(能登印刷 制作部)
クライアント:和想屋<wasouya>
※ 会社名・部署名などは取材および記事制作当時のものになります。