古く色褪せた写真資料をキレイに補正・デジタル化! 見やすく違和感なく鑑賞可能に │ 国立工芸館 様
- 2023年4月20日
- デジタルアーカイブ
日本で唯一、国立で工芸・デザインを専門とする美術館「国立工芸館」(石川県金沢市)では、数多くの美術工芸作品だけでなく、所蔵作家が遺した写真や図案、スケッチといった作品に関連した資料や、作家が作品制作で使用していた道具や素材なども収蔵されています。
その中には明治から昭和を生きた石川県金沢市出身の、重要無形文化財「蒔絵」の保持者・松田権六氏が生前に撮影した貴重な写真も含まれています。遺された写真から、私たちは、松田氏がどんなものを見ていたのかを知ることができます。
このたび、弊社・ナレッジクライマー(能登印刷)では、撮影からかなりの年月が経った松田権六氏のモノクロのスナップ写真を、見やすい形でお客様に鑑賞していただいたり、映像資料として活用するため、原物を劣化させずにスキャニング・デジタル化を行いました。
今回はその事例について詳しくご紹介いたします。
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キズやホコリの多い古い写真も見やすくキレイに!
画像補正が写真鑑賞のしやすさを左右する
重要無形文化財「蒔絵」の保持者となった松田権六氏は、漆工芸史に名を残す名匠として「漆聖」とも称えられました。1964年著書『うるしの話』で毎日出版文化賞を受賞するなど、その活動は多岐にわたります。国立工芸館では、そんな松田権六氏のご遺族から寄贈された生前のスナップ写真を収蔵しています。
今回の写真のデジタル化の背景には、
- 近年の博物館法の一部改正により、美術館・博物館全体が収蔵資料の
デジタル化を進める方向としている - 資料をさらに活用して多くの人に見てもらいたい
- スライドショーとして展示したい
といった点がありました。なんといってもデジタル化の最大の魅力は、
原本を劣化させることなく、内容を見たり活用することができる
ということ!
また、ただデジタル化をするだけでなく、
- ダメージを受けた古い写真のホコリや傷などを除去したい
- ハガキサイズの写真を、A5サイズに拡大したい
といったご要望もありました。
そこで、古い写真を違和感なく鑑賞できるようにデジタル化するため、目立つホコリや傷で損傷している部分を補正するだけでなく、色合いはそのままに、シャープさやコントラストなどを調節し、同時に画像としてのクオリティを高める作業をさせていただきました。
まず、フラッドベッド・スキャナーに写真を数枚並べてスキャンします。そこで取り込んだ画像データを、Photoshopで補正をしていきます。
Photoshopでは、画質やシャープネス、色調整といった基本的な画像補正をアクション機能を使って自動処理し、効率的に作業を進めます。その後、ホコリやキズといった絵柄を見ながら補正しなければならない箇所を、一つひとつ手作業で補正していきます。
縦に入った線などを補正する際は、階調がなく違和感があまり出ない部分は強めに補正をかけています。
色調・コントラストが整ったことで、はっきりと見やすくなり、ゴミや傷を取り除いたキレイな状態になっています。
今回お客様に実際に立ち会っていただいた際に感想をお伺いすると、
鑑賞の妨げになるキズを目立たなくしたり、変色した部分を修正したりと細かい作業が多く、画像補正の重要さに気が付いた。ちゃんと写真を見ていただくにはやはり綺麗な状態が一番で、キズやゴミがなくなると、違和感なく、見やすく鑑賞できるようになった
というお声をいただくことができました。
これらデジタル化した写真は実際にスライドショーにして展示・鑑賞していただいており、
- 色味のトーンを合わせているのでスライドショーでも違和感なく
キレイに見ることができる - お客様が立ち止まって見入ってくださっている姿を良く見かける
といったお声もいただきました。
このように、弊社・ナレッジクライマー(能登印刷)では、古くから遺されてきた写真を、原本をこれ以上傷めることなく、状態の悪いものでも違和感なく鑑賞できるようなスキャニング・画像補正をすることが可能です。
また、私たちは、美術印刷・高精細印刷の実績を多く持ち、読み込む機器ごとの特徴を捉えて一つひとつ色味を補正したり、照明の色やモニターの色で差が出ないような設備の完備など、画像や色再現にチカラを入れて取り組む部分を強みとしております。
そんな実績を活かしながら、どんな写真や原稿でもご要望に合わせて再現・補正・デジタル化いたしますので、古い写真や資料をお持ちの方、美術館や博物館などの学芸員様やご担当者様は、印刷からデジタル化のお悩みまで、まずはお気軽にご相談くださいませ。
クライアント:国立工芸館 様
※ 会社名・部署名などは取材および記事制作当時のものになります。