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写真で”魅せる”図録のような400年記念誌を制作!|株式会社森八 様

  • 2025年2月20日
  • 社史・記念誌

石川県・金沢市に古くから伝えられているものの一つに「和菓子」があるのをご存知でしょうか? 金沢では、喫茶文化の流行とともに、加賀藩でも茶道が盛んにおこなわれるようになると同時に、和菓子文化が発展しました。のちに京都や松江と並ぶ「日本三大菓子処」として知られ、市内には今でも数多くの老舗の和菓子店が立ち並んでいます。

老舗和菓子店「加賀藩御用菓子司 森八」とは?

今回お手伝いさせていただいた株式会社森八(以下「森八」)様は、石川県金沢市に本社を置く和菓子メーカーです。森八 様が経営する「加賀藩御用菓子司 森八」は、城下町金沢にて寛永2年の創業以来400年、日本三銘菓の随一と称えられた、長生殿をはじめとした伝統ある和菓子を取り揃える老舗和菓子店として有名で、金沢で知らない人はいないほど。

森八 様は北陸だけでなく、関東を含む19店舗(2025年2月現在)を構えており、本店2階にある金沢菓子木型美術館では、江戸時代から使われてきた菓子木型など千数百点を展示しています。

そんな森八 様は1625年の創業から、2025年で丸400年を迎えます。

森八

森八様公式ホームページ(https://www.morihachi.co.jp/)より、「長生殿」

制作の背景・お客様のご要望

今回ご紹介するのは、弊社でお手伝いさせていただいた株式会社森八 様の400年記念誌「森八 400年の夢 和菓子たちの詩」です。

400周年という大きな節目を形に残すために記念誌作成のご相談があり、お客様からは以下のようなご要望がありました。

・380周年に年表や文章を中心に歴史をまとめた記念誌を制作したため、400周年を迎える今回は写真を中心とした図録のような記念誌にしたい。
・400年で生まれた和菓子を形どってきた「木型」にスポットを当てたい。
・高級感のある記念誌に仕上げたい。

和菓子店といえばパンフレットやホームページなど、和菓子にスポットを当てて紹介されがちですが、その和菓子は菓子木型がないと作ることができません。そのため、今回は森八 様の400年を支え続けてきた「菓子木型」にスポットを当てたいという思いがありました。

また、堅苦しいイメージの記念誌ではなく、イメージ画像をまとめた写真集のようなものを作成したいとのことで、その思いをカタチにするべく記念誌制作がスタートしました。

森八

和菓子の木型を芸術的に魅せる工夫の数々

今回の記念誌では、台割作成・撮影・編集・画像補正・印刷・製本をお手伝いさせていただき、和菓子や木型を資料的に見せるのではなく、芸術的に”魅せる”以下の工夫を施しました。

①見開きで引き込む誌面構成とクータバインディング

当記念誌では、見開き展開となっているページを多く取り入れ、写真を中心に見せるために大きく目一杯に掲載。木型や和菓子の迫力ある写真で、ページをめくるたびに見る人を引き込みます。

また、見開きのページの写真がノドまでしっかりと見えるように、「クータ・バインディング」という製本加工を行いました。「クーターバインディング」とは、背に筒状の紙(クータ)を貼り、背表紙と本体の間に空洞をつくることで、手で押さえなくても本が閉じにくくなる製本方法です。本文と表紙の背が接着していないため、開いた時に背が割れる心配がなく、背表紙のデザインを損ねずに綺麗な状態で保つことができます。

この製本によって、見開きのページがより見やすく、そして記念誌が全体的に開きやすくなっています。

背に空洞を作る「クータ・バインディング」

②表紙の強度を保つ小口折り製本とこだわりの表紙まわり

今回は、記念誌を手に取りやすいものにするためにハードカバーを廃止。しかし、カバーがないと本の強度が損なわれてしまうため、その対策として表紙の強度を保つ「小口折り製本」を施しました。

小口折り製本とは、表紙とカバーが一体化した製本方法で、表紙の小口側の袖を長く作り、長い分表紙の裏側に折り曲げた仮製本の製本様式のもののことをいいます。

長期保存などにも適しており、図録や記念誌によく使用される折り加工で、ブックカバーをかけた装丁のように表紙に存在感を出しています。

また、お客様のご要望で、表紙を開いてすぐの本扉を赤一面に構成。森八様のロゴにも使用されている赤をポイントカラーとして、表紙は黒の背景色で高級感を出しつつ、森八様のイメージをそのままに記念誌に落とし込んでいます。

③約1年かけて制作し、四季を散りばめた記念誌に

当記念誌の制作期間は約1年間。撮影は4回にわたって行われ、お菓子のイメージの季節に合わせた写真を取り入れました。写真は、資料的に説明するためのものではなく、イメージカットとして一つひとつの魅せ方にこだわり時間をかけて撮影を行いました。

桜のイメージで撮影した見開きページ

④表紙タイトルの銀の箔押し加工

誰もが必ず目にすることになるタイトル部分には、目を引く銀色の箔押し加工を施しました。

箔押し加工とは、凹凸のある金属製の版を使用して熱と圧をかけることで、用紙に箔を転写する加工方法です。この一手間を加えるだけで、デザインがさらに際立ちます。

これを用いることで、記念誌の表紙により高級感を持たせています。

⑤木型一つひとつのエピソードで歴史を垣間見る

当記念誌では、木型をただ写真で紹介するだけではなく、一つひとつの木型の歴史を垣間見るようなエピソードを紹介しています。木型がどんなお菓子で、いつ、どのように用いられていたのか・・・。読んでみると、400年を紡いだ歴史ある木型の魅力にさらに引き込まれることでしょう。

また、当記念誌は観光客や海外の方にも思いを伝えることができるよう、和英表記となっています。

このような工夫で、通常の記念誌とは一味違う、芸術作品のような記念誌が完成しました。

実際の店舗にて販売

当記念誌は、全従業員や日頃よりお世話になっている方々へ配布するとともに、実際の「加賀藩御用菓子司 森八」の店舗で地元の方、観光客の方に向けて一般販売をしています(2025年2月現在)。お立ち寄りの際は、ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか?

実際の店舗で販売している様子

石川県の記念誌・高品質な図録制作は能登印刷

このように、弊社・ナレッジクライマー(能登印刷)では、社史・記念誌をはじめとして、長年積み重ねてきた美術印刷の実績や、高品位印刷の技術を活かし、美術館・博物館の図録や印刷物のお手伝いを企画・デザインからさせていただいております。

また、今回のような一味変わった装丁のもの、図録のような記念誌や、印刷・製本加工技術を用いた幅広い表現のデザイン制作も可能です。「今までにないような記念誌を作りたい」、「インパクトのある図録に仕上げたい」といったご要望がございましたら、お気軽にご相談いただければと思います。

石川県に限らず、全国対応可能! お客様に丁寧にヒアリングさせていただき、ご要望に寄り添いながらデザイン・印刷させていただきますので、ご興味がございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。

▶ お問い合わせ

▶ 弊社・ナレッジクライマー(能登印刷)の高品位印刷

営業:中山友也 (能登印刷 メディアプロデュース北陸営業本部)
クライアント:株式会社森八 様
※ 会社名・部署名などは取材および記事制作当時のものになります。

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